フェスティバル/トーキョー13『光のない。(プロローグ?)』

見ててきょとんとしてしまった。「プロローグ?」のクエスチョンマークが頭に張り付いて離れない感じ。

福島原発事故をテーマにした抽象的で詩のようなテキストだ。それを(単純なリーディングではなく)演劇化するのはたぶん2つの方法がある。愚直になるのを恐れずにテキストに寄り添ってそれをわかりやすく提示するか、テキストを外部化して「内容」は別の形で象徴的に提示するか、どちらかだ。今回の上演では後者の方法がとられている。テキストは分解され再構成されて俳優たちの動きや音楽が恣意的にはさみこまれる。おそらくそこでは原発事故をめぐる何かが象徴的に表出されていたのだろうけど、オーストリアという福島から遠い場所で書かれたテキストだけどぼくもまたそれと同じくらい福島から隔たっていて、そのリアリティをうまくうけとめることができなかった。

劇中「上演は、失敗する」というテキストが何度も呪いのように繰り返されたが、少なくともぼくの中ではその呪いは必然的に自己成就的してしまった気がする。

作:エルフリーデ・イェリネク、演出:宮沢章夫/東京芸術劇場シアターウエスト/自由席(FT3演目セット9900円)/2013-11-30 19:30/(無星)

出演:安藤朋子、谷川清美、松村翔子、牛尾千聖、大場みなみ