残雪(近藤直子訳)『黄泥街』

害虫、害獣、糞尿、臭気がてんこ盛り。ひょっとすると黄泥街で一番リアルなのはそういう汚穢なのかもしれない。 少なくとも登場する人間よりはリアルだ。王四麻はいなくなったあと元々存在していたのかどうかさえわからなくなるし、救世主的な崇拝の対象となる王子光も「いったい人間であったのか、むし...