スチュアート・ダイベック(柴田元幸訳)『シカゴ育ち』

16年前に初めて読んだときにはほとんどよさがわからなかったが、先日たまたま部屋の隅で埃をかぶっていたこの本を発掘したときにひっかかるものを感じた。前回読んだときはは物語が発するリズムとぼくが求めているリズムが一致しなかったのかもしれない。それで試しに最初の作品『ファーウェル』を読...

スチュアート・ダイベック(柴田元幸訳)『シカゴ育ち』

邦題から、生まれ育った街への愛着がつまったウェルメイドな作品を想像していたが、さにあらず、むしろ前衛的といったほうがいいようなシュールなイメージにあふれた作品だった。その分読みにくさもあって、描写が続くところなどは文字の連なりを意味に変換するのにとても苦労した。おそらく重要な箇所...