読書ノート

フィリップ・K. ディック(山形浩生訳)『ティモシー・アーチャーの転生』

続けて三部作の完結編。でも、これまで二作の破綻含みののはちゃめちゃさからはほど遠い、まっとうな作品だった。まっとうといっても平凡とかではなく...

ベン・H・ウィンタース(上野元美訳)『世界の終わりの七日間』

小惑星衝突による人類滅亡が間近にせまる世界を描いた三部作もいよいよ完結編。今回は衝突の一週間前から直前までが舞台だ。 前作でいったん衝突までの...

フィリップ・K・ディック(山形浩生訳)『聖なる侵入』

引き続いて三部作の第二作を読む。 前作『ヴァリス』が現代を舞台にしてSF要素が希薄だったのに対し、本作は形式的にはまちがいなくSFだ。辺境の惑...

ベン・H・ウィンタース(上野元美訳)『カウントダウン・シティ』

小惑星衝突間近で混乱し急速に無政府化しつつあるアメリカで、ひとり事件解決に挑む刑事ヘンリー・パレスの活躍を描く三部作の第二作。 今回は衝突の3...

円城塔『エピローグ』

同時刊行された『プロローグ』と『エピローグ』、ふつうなら『プロローグ』を先に読むが、円城塔作品なら逆だろう、とこっちから読むことにした。 直前...

グレッグ・イーガン(山岸真訳)『シルトの梯子』

約2万年先の未来。最新の理論では1/6兆秒で崩壊するはずの構造から別の宇宙が誕生し、際限なく広がりわれわれの宇宙を侵食しはじめる……。 最近読...

レイモンド・チャンドラー(村上春樹訳)『水底の女』

春樹マーロウもこれにて完結。奇しくもぼくが最初に読んだチャンドラー作品だ。あとがきで訳者曰く、基礎構造に無理のあるチャンドラーらしくない作品...

プルースト(高遠弘美訳)『失われた時を求めて 第2篇 花咲く乙女たちのかげに』

第1編を読んでから3年の月日が流れ去ってしまった。記憶に関する物語なのに記憶の風化は甚だしく、覚えていることといえばマドレーヌくらいだった。...

唐木元『新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング』

一時期自分は文章を書けるのではないかと錯覚したこともあったのだが、間違いなくぼくは文章を書くのが苦手だ。 時間がかかるし、書いている間に意図が...

チャールズ・ブコウスキー(青野聰訳)『ありきたりの狂気の物語』

34篇からなる掌編集。どの作品にも作者を思わせる人物が出てくる。ほとんど一人称だし、チャールズ・ブコウスキーと名乗る作品も多い(「ハンク」と...

フランソワ・ジュリアン(中島隆博、志野好伸訳)『道徳を基礎づける 孟子vs.カント、ルソー、ニーチェ』

「道徳」というと国家や共同体からおしつけられる硬直化した規範と思うのはぼくだけではないようで最近は「倫理」という言葉が好まれていてぼくもそっ...

神原正明『『快楽の園』を読む ヒエロニムス・ボスの図像学』

9月に渋谷でベルギー奇想の系譜展という展覧会を見てきた。展示の中心の一つはヒエロニムス・ボスの作品で、もちろん今回来てなかったのだがプラド美...

海野十三『深夜の市長』

芦辺拓さんによると、戦前二大都市奇想小説は先日読んだ『魔都』とこの『深夜の市長』ということなので読んでみた。 長編というには短くて長めの中編と...

ブルース・チャトウィン(芹沢真理子訳)『パタゴニア』

パタゴニアとは、日本からはちょうど地球の裏側、南米大陸の南端に位置する地域を指す。自然が過酷でとにかく風が強い。西の太平洋に面したチリ領は海...

佐藤亜紀『スウィングしなけりゃ意味がない』

はじめての佐藤亜紀。旧作から読んだほうがいいかとちょっと迷ったが、結局最新作の本書から読むことにした。 舞台はドイツの港湾都市ハンブルク。19...

Robert A. Heinlein “The Door into Summer”

SFの古典的名作。もちろん再読だ。この間新訳が出たが次読むときは英語でと決めていた。SFでこみいった文学的表現がないから読みやすいかと思った...

グレッグ・イーガン(山岸真、中村融訳)『アロウズ・オブ・タイム』

直交三部作もいよいよ完結編。母星への帰還の時期が舞台かと思っていたが、そうではなく《孤絶》搭乗者の第6世代、Uターン前後の時期がメインだった...

北杜夫『星のない街路』

北杜夫のSF作品の『不倫』が読みたくて(タイトルは失念していた)この前SF作品集『人口の星』を読んだのだが収録されてなくて、ほんとうはこっち...

久生十蘭『魔都』

久生十蘭の代表的な長編小説。舞台は1934年の大晦日の夜から1935年1月2日未明まで20数時間の東京。日本滞在中の安南国皇帝の愛人が自宅ア...

レイモンド・チャンドラー(村上春樹訳)『プレイバック』

『みみずくは黄昏に飛びたつ』を読んで半年くらい前に発売されていたことに気がついた。 チャンドラーが完成させた最後のマーローものの長編小説。以前...