グレッグ・イーガン(山岸真訳)『宇宙消失』

宇宙消失 (創元SF文庫)

久しぶりの長編SF。

突然夜空の星が消失するという現象から30年後の世界。ナノテクを使ってシナプスを自在に結線し、さまざまな機能をインストールしたり、感情をコントロールすることが可能になっている。元警官で探偵の主人公は、病院から行方不明になった全身麻痺の女性を探してほしいという依頼を引き受ける。

サイバーパンクとハードボイルドの装いを借りつつ、SFのアイデアひとつでまとめあげた作品。このアイデアはとても奇抜でおもしろいのだけど、微妙に不自然なところがあったりもするので、むしろ短編向きの題材だったかもしれない。ストーリーももう一波乱、二波乱あってもよかったのにと思う。

★★