ダグラス・アダムス(安原和見訳)『宇宙の果てのレストラン』

宇宙の果てのレストラン

底抜けにブラックでシニカルなスペースオペラの2作目。1作目の『銀河ヒッチハイク・ガイド』と物語は完全に継続していて、続編というより前後編の後編、いや全部で5作らしいので(5作からなる三部作とよばれている)ようやくストーリーが佳境に入ってきたという感じだ。

実際、前作は「軽く腹ごしらえとしゃれこもうぜ。行き先は"宇宙の果てのレストラン"だ」というセリフで終わっていて、その言葉は本書の中ほどで実現する。「果て」というのは空間的な終端ではなく時間的な終わりをさしている。この店では宇宙が終わる瞬間を見物しながら食事をすることができるのだ。サービスもいたせりつくせりで、今日のディッシュと会って肉の部位を決めることもできる。ちなみに、時間の反対側には"ビックバン・バーガーバー"という店がある。

本書の末尾でも、謎はぜんぜん収束していない。残り3作も是非とも邦訳を出してほしい。