ポール・セロー(村上春樹訳)『ワールズ・エンド(世界の果て)』

ワールズ・エンド〈世界の果て〉 (村上春樹翻訳ライブラリー (t-1))

つきはなしたような冷たいユーモアが特長の短編集。故郷から遠く離れた異郷にいる人たちが主人公になっている。人間の実存を感じさせるような重い作品はないけれど、冒頭の表題作『ワールズ・エンド(世界の果て)』と最後の『緑したたる島』は、いつの間にか人生の袋小路に入り込んだ人々の絶望をとてもリアルに描き出していた。