ベン・H・ウィンタース(上野元美訳)『世界の終わりの七日間』ebook

世界の終わりの七日間 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

小惑星衝突による人類滅亡が間近にせまる世界を描いた三部作もいよいよ完結編。今回は衝突の一週間前から直前までが舞台だ。

前作でいったん衝突までの落ち着き場所を得た元刑事ヘンリー・パレスだが、本作では行方知れずの妹ニコを探す旅に出ている。最初割と平穏に物語は進行していくが、期待(?)を裏切らず、凄惨な事件に遭遇し、パレスはそれを解き明かそうとして破滅の歯車を回してしまう。

パレスの非合理としか思えない行動をみているといらいらしてしまうことを禁じ得ないが、考えてみると合理性を担保するのは未来があるということだ。ところが、この本の中のように世界の終わりがカウントダウンされてしまうと、今何をしようがあとからそれを正当化してくれるはずの根拠がなくなってしまう。パレスはかわりに過去を自分の行動指針にしようとしているのだ。起きてしまった出来事の詳細と原因をつきとめること。通常の合理性とは向きは逆だが、こういう非常事態にはそれしかないのかもしれない。

ラストシーンがすばらしい。パレスは最後まで現実(つまり小惑星)から目を背けない。ということは、作者も目を背けなかったということだ。痛々しくて読み進めるのがつらいこともあったが、最後に拍手をおくりたくなった。