梶井基次郎『檸檬』

檸檬

散歩者の散歩者による散歩者のための小説だ。

八百屋の店先でふと見つけたみずみずしい檸檬。それが不吉な塊をはねのけ幸福感をもたらしてくれる。ぼくもまた檸檬をさがして街々をさまよっているのかもしれない。機会があればそれを使って街じゅうまるごと吹き飛ばしてしまおうとねらっている。そう、散歩者はまたテロリストでもあるのだ。

★★★