レイ・ブラッドベリ(伊藤典夫訳)『二人がここにいる不思議』

二人がここにいる不思議 (新潮文庫)

これまた積読解消の一環。

レイ・ブラッドベリといえば『華氏451度』と『火星年代記』。というよりそれ以外の作品はほとんど読んだことなかったのだが、SFという枠にとどまらず多種多様な作品を書くことのできる人だと再確認。

24編からなる短編集。気に入った作品を3つあげると、『ローレル・アンド・ハーディ恋愛騒動』、『号令に合わせて』、そして『ストーンスティル大佐の純自家製本格的エジプト・ミイラ』。特に『ストーンスティル大佐…』は、老人と少年が村中相手に奇想天外ないたずらをしかけるというマーク・トウェインばりのユーモア小説の形をとりながら、老人の魔術的といってもいいような話術が全編を覆い、それに触発されるかのように少年は将来作家になるという夢を語り、半自伝的な側面をみせるというてんこ盛りの傑作。

★★