名詞

フランス語のボキャブラリ

同じインドヨーロッパ語族というグループに属していても、フランス語というのはラテン語系の言葉、英語というのはゲルマン語系の言葉ではるか昔に枝分かれした言葉です。普通に考えれば、似たような単語などはあまりないはずです。ところが、イギリスは11世紀から12世紀にかけて、ノルマン人とよばれるフランス語を話す人たちに征服されていた時期がありました。この時期にフランス語の単語が英語の中にどっと流れ込んできたのです。したがって、今でも、英語とフランス語で同じかとてもよく似ているスペルの単語が多数あります。もちろん発音は異なるわけですが。

例えば、orange(オラージュ)、chance(シャース)、information(アフォルマスィオ)などなどです。

名詞の数と性

フランス語の名詞にも英語同様複数形というのがあります。形は英語とほとんど同じ、最後に"s"がつきます。まあ、このあたりについてはあらためて説明する必要はないでしょう。なお、この複数形の"s"は発音しません(一部例外があります)。

フランス語の名詞にはもうひとつ男性、女性という「」があります。まあ、男性の日本人、“japonais”(ジャポネ)が男性名詞で、女性の日本人、“japonaise”(ジャポネーズ)が女性名詞というのは理解できると思いますが、まったく性とは無縁の無生物にまで男性、女性の区別があります。例えば、本 “livre"は男性ですし、椅子"chaise"は女性です。へえ、そうなんだとすませるわけにはいかず、それぞれの名詞が男性か女性かは逐一覚える必要があります。最後が"e"で終わる名詞には女性が多いということはいえなくもありませんが、下駄をけって天気予報をするのとあまり変わらないレベルの法則です。

なぜ、「性」を覚えなければいけないかというと、その名詞の「数」と「性」によって付加される形容詞や冠詞の形が異なってくるからです。考えられる4つの場合、「男性で単数」、「女性で単数」、「男性で複数」、「女性で複数」に応じて、形容詞と冠詞は形を変えます。