侵食

休日出勤の帰り、駅前。

追い抜いていった男性の革靴がきらりと光って、ふだんみることもないレンガ模様の地面が目に入った。そこには1円玉より若干小さな黒い円形。ふと手にとると、イヤフォンを包むパッドだった。そういえば、数日前からiPodのイヤフォンの片側のパッドがはずれてどこかにいってしまっていたのだが、探すことすらしていなかった。ぼくはそれを、白く冷たい貝殻の形をした部分に、すっぽりかぶせた。

最近、現実がだんだん夢に似てきている。