目を閉じてものを見る

何のまえぶれもなく目を閉じて、自分のまわりのものを想像してみる。

たとえば、飲みかけのペットボトルのラベル。自分のシャツのストライプ。日向と日陰の境目の線。今座っているところは階段の何段目なのだろうかということ。とぎれとぎれに聞こえる声の主との距離とネクタイの柄。いるのかいないのかわからないハトたち。いないのかいるのかわからないぼく。

目を開けると、前と同じものはなにひとつとしてない。