Kera・Map『ヤング・マーブル・ジャイアンツ』

作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ/吉祥寺シアター/指3900円/2005-06-30 19:00/★★★

出演:天野史朗、荒木秀行、荒巻信紀、井澤正人、いせゆみこ、市川訓睦、伊藤修子、猪岐英人、今井あかね、井本洋平、岩崎正寛、植木夏十、岡田昌也、緒川桐子、金崎敬江、眼鏡太郎、小林由梨、駒木根隆介、小宮山実花、近藤智行、主浜はるみ、鈴木里実、鈴木菜穂子、関絵里子、永田杏奈、音室亜冊弓、野部友視、初音映莉子、林雄一郎、三嶋義信、皆戸麻衣、宮本彩香、宗清万里子、横塚進之介、吉田真琴

オープンしたばかりの吉祥寺シアター。吉祥寺駅の北東、客引きが跋扈する歓楽街の端にあるのだ。壁や備品は真新しく、照明が明るい。トイレもきれいだ。座席は段差が深くとってあって、前の人の頭が邪魔になることはなさそう。椅子はどちらかといえばチープだが、真ん中がたわむので、長い時間座るのもそれほど苦にならない。規模は典型的な小劇場だが、若干視野が限られるものの、バルコニー席が両側にあったりする。

両親を事故で亡くして二人きりで暮らす消崎由香(『砂の上の植物群』で常盤貴子が演じたのと同じ役名)、健太郎姉弟を軸に、現実と、由香が健太郎のために書いている「童話」の中の出来事がオーバーラップして、ちょっと残酷でスラプスティックな物語が展開してゆく。

オーディションで選ばれた無名に近い(ぼくが知っているのは9人だけだった)若手の出演者35人(なぜか「イ」からはじまる姓の人が多い)ということで、散漫になってしまうのではないかと危惧していたが、全然そんなことはなかった。ありがたいことに無料で配布されていたパンフレットによると、彼らは全員ノーギャラで出演しているらしい。なんだか、若者の夢を搾取することにより成立している小劇場界の現状をまざまざと見せつけられているようで、考えさせられてしまう。もちろんそれでもケラの芝居に出ることにメリットがあるということなのだろう。

罪滅ぼしというわけではないが、何人か印象に残った役者をあげると、まず主役の由香を演じた宗清万里子。片眼に眼帯をしていて顔はいまひとつわからなかったがよく通る声が印象的だ。「童話」の中で荷物を運ぶOLキンギョとフナワを演じた、皆戸麻衣と小林由梨。結核で死の床についている野々村を演じた三嶋義信。小津映画に出てきそうな語りがいい。あと人体模型。