イキウメ『図書館的人生 Vol.4 襲ってくるもの』

襲ってくるもの

3編からなるオムニバス。各編は共通の登場人物がいたりして緩やかに関連しており、2036年、2006年、2001年と年代を遡ってゆく。

最初の『箱詰め男』は、アルツハイマーを患った脳科学者が自分の脳をコンピュータにアップロードする話。二番目の『ミッション』は突然どこかから自分の欲望と無関係な衝動がやってくる男の話。彼はそれを微妙な変化を引き起こすことによって世の中を最適化しているのではないかと思い始める。最後の『あやつり人間』は就職活動中の女子大生が母の病気などを背景に周囲の優しさに違和感を感じすべてをリセットしたいと思い出す。

ある物語のその後の成り行きが別の物語の中で示唆されるのがおもしろい。

センス・オブ・ワンダーという点では『箱詰め男』が一番で、『あやつり人間』はワンダー成分は極めて少なくてほぼエモーション成分のみで構成されていた。これから展開していくのかと思ったところで唐突に終わって若干驚いたくらいだった。せめて順番を逆にした方がよかったと思う。

作・演出:前川知大/東京芸術劇場シアターイースト/指定席5000円/2018-06-02 18:00/★★

出演:浜田信也、安井順平、盛隆二、森下創、大窪人衛、小野ゆり子、清水葉月、田村健太郎、千葉雅子