阿佐ヶ谷スパイダース『MAKOTO』

makoto

メンバーが大量に増えた新しい阿佐ヶ谷スパイダースの第一作。

妻を医療事故でなくした水谷は、それが担当医師の個人的事情による過失だったということを知り精神の平衡を失う。水谷は、医師に会うため、オオカミタクシーに乗り込み、大久保に向かい、さらに渋谷を経由して代官山と、夜の東京を疾走する。このくだりが祝祭的でほんとうにすばらしい。町が目の前に浮かび上がってきた。水谷を気遣う入口、栗田など登場人物も愛すべき人たちだ。

前半、あふれかえる詩情とユーモアに圧倒された。後半、水谷が自らの特殊能力にめざめる部分がつけたしのように思えるくらい。まあ、物語を進行させ完結させるためには必要な部分ではあるのだが、ちょっと長く感じた。それをさしひいても、久々に血がたぎるすばらしい舞台だった。

作・演出:長塚圭史/神奈川芸術劇場大スタジオ/指定席5000円/2018-09-08 18:00/★★★

出演:中村まこと、大久保祥太郎、木村美月、坂本慶介、志甫真弓子、伊達暁、ちすん、長塚圭史、中山祐一朗、藤間爽子、森一生、李千鶴