範宙遊泳『うまれてないからまだしねない』

うまれてないからまだしねない

初の範宙遊泳。代表作の再演ということで満を持して観にいった。

ダイアローグの途中で内心を表出するモノローグが入るのはどうも苦手なのと、テーマが人類の大量死なのは、前田司郎『生きてるものはいないのか』でやりつくした気もしていて、途中まで冷めた感じでみていた。

風船みたいにふくらんで宙に浮かぶ老人たちとか、冒頭語り手の役割を果たすゴキブリとか、にぎやかしの要素はあるけど、登場人物のひとりの両親とおぼしき25年前の男女が別の時間軸ででてくるのは、どう本篇とつなげるのか不可解な気持ちで見守っていた。それがラストあんな形でどんでん返しをするとは!死がテーマの暗い芝居と思っていたのが反転して生に対する賛歌になっていた。

作・演出:山本卓卓/本多劇場/指定席5000円/2019-02-02 19:00/★★★

出演:熊川ふみ、埜本幸良、福原冠、稲継美保、野口卓磨、松本亮、山崎皓司、山田由梨、油井文寧、銀粉蝶