野田地図『Q: A Night At The Kabuki』

Q: A Night At The Kabuki

クイーンの”A Night At The Opera”(オペラ座の夜)というアルバムをもじって “A Night At The Kabuki”(歌舞伎座の夜)という副題がつけられた舞台。Q はもちろんクイーンの Q だろう。音楽が全編にわたって使われているし今回の舞台の主役と言っても過言ではないだろう。

物語の下敷きはロメオとジュリエット。それを日本の源平の争いに移し替えている。原作とは異なって、届かない手紙による喜劇どして終わっていて、生き残った二人はそれをどうにかやり直そうとする。二人の後の姿でメタにこの物語をやり直そうとする役をベテランの松たか子と上川隆也が演じ、当事者としての姿を若い広瀬すずと志尊淳が演じている(後半では役割が交代する)。

物語の流れは変えられなかったが、それを悲劇として完成させることには成功する。ある意味ベタな展開だけど、ラストでは感動を抑えることはできなかった。

広瀬すずは舞台上に存在していることが奇跡的。でもそれ以上に今回は久々に舞台で竹中直人を見られたのがうれしかった。ぼくが芝居を見にいくようになったきっかけのそもそもは彼なのだった。

プレオーダーにことごとくはずれて諦めていたのに、休日の当日券があたるとは。しかも2回前方から舞台を見下ろせるそんなに悪くない席だった。ほんとうにラッキーだった。

作・演出:野田秀樹/東京芸術劇場プレイハウス/補助席9000円/★★★

出演:松たか子、上川隆也、広瀬すず、志尊淳、橋本さとし、小松和重、伊勢佳世、羽野晶紀、野田秀樹、竹中直人、秋山遊楽、石川詩織、浦彩恵子、織田圭祐、上村聡、川原田樹、木山廉彬、河内大和、末冨真由、鈴木悠華、谷村実紀、松本誠、的場祐太、モーガン茉愛羅、柳生拓哉、八幡みゆき、吉田朋弘、六川裕史