五反田団『生きてるものか』

五反田団『生きてるものか』

作・演出:前田司郎/東京芸術劇場小ホール1/自由席2500円/2009-10-24 19:30/★★★

出演:飯田一期、石澤彩美、久保亜津子、佐藤誠、島田桃依、菅原直樹、瀬尾遠子、飛谷映里、野津あおい、桝野浩一、前田司郎

続編というわけではないが、『生きてるものはいないのか』のラストで、人が全員死んでしまった後のようなシーンからはじまる。ふと人が一人起き上がる。キリスト教でいう時間の終わりみたいに死者がよみがえる話かと思ったが、そうではなく、役者が舞台から退場するときに後ずさる動きから、まるでフィルムを巻き戻すみたいに時間が逆行していることがわかる。

そうやって時間を遡ることにより、ばらばらに死んでいる死体だったものが、生きていたときには人間としてつながりあっていて、そのつながりがこわれた玩具を修理する時みたいに復元されてゆく。もちろん時間を正方向にみてしまうと数時間後には死ぬことが運命づけられているわけだが、そういううがった(だって舞台上の時間の流れとは逆なわけだだから)見方を吹き飛ばすほどに、それぞれのつながりが暖かでおかしくていい。

役者では歌人の桝野浩一さんがとぼけたいい味を出していて、好演。はじめての舞台とは思えない。

『生きてるものはいないのか』も同時公演中。