E-Pin企画10周年記念公演+城山羊の会『イーピン光線』

E-Pin企画10周年記念公演+城山羊の会『イーピン光線』

作・演出:山内ケンジ/駅前劇場/指定席2500円/2010-02-13 19:30/★★★

出演:九十九一、渡部雄作、KONTA、岡部たかし、古賀清、渡部友一郎、鈴木コウヤ、本村壮平、安村典久、メイビ、綿貫正市、牧田明宏、主浜はるみ、金谷真由美、大地輪子、田上香織、山口奈緒子

やけに登場人物が多いなと思ったら、事務所の10周年企画とかで所属俳優全員が出演しているそうだ。

城山羊の会は初見。もっとべたっとした感じを想像していたが、ブラックでとぼけたユーモアと底が抜けたようなシュールさが魅力的な舞台だった。誰か一人似た作風の人をあげるとしたら別役実だろうか。

同じ団地に住む友人たちが帰った後、やよいは軽くウイスキーを口に含むが、突然眠くなってうたたねしてしまう。目が覚めると夜で、ちょうど夫が帰ってきたところだった。あわてて子供部屋をのぞくが、塾から帰ってきているはずの子供の姿はない。そのとき突然携帯電話がなり、子供を誘拐した、返してほしければ身代金を払えという。打ちのめされる彼らのもとに、知らせていないのに、なぜか事件をききつけた、近所の友人、警察、夫の父、そしてやよいの愛人までもがやってくる……。

どれが現実に起きたことで、どれが幻想なのか、そもそもその間に区別はあるのか……。さらに不可解なことに、中心的な二人の女性の役をときどきほかの役者が演じる。それもうっすらと化粧をし、頭を短く刈り込んだ男性だ。どこかで見た顔だなと思ったら、バービー・ボーイズのKONTAだった。つまり、やよいの役は本来その役を割り当てられている金谷真由美とKONTA二人によって演じられ、もうひとつのあかねという役は主浜はるみそしてKONTAによって演じられているのだ。つまり三人二役。みている間は面食らったが、配布されたリーフレットの配役表をみて、なんとなるわかったような気になった。KONTAの役名に「罪」と書いてあったのだ。つまり、この二人の女性が罪深さを体現するような場面で、KONTAに変身するということなのだろう。すごくひねられた演出だ。