ペンギンプルペイルズパイルズ『謝罪の罪』

ペンギンプルペイルズパイルズ『謝罪の罪』

作・演出:倉持裕/ザ・スズナリ/指定席4500円/2010-03-21 14:00/★

出演:小林高鹿、玉置孝匡、近藤フク、ぼくもとさきこ、吉川純広

劇団結成10周年記念、劇団員のみによる公演。

会社で会議中に後輩を殴ってしまった男遠藤が、処分が決まるまで倉庫に軟禁される。かわるがわるやってきて理由をたずねる先輩、後輩、偶然立ち寄った中学時代の同級生、そして当の殴られた本人。しかし遠藤自身にもはっきりとした理由はわからない。

序盤から中盤はNHKで放映されている『サラリーマンNEO』的なとぼけたおかしさがあり、さらに部屋に入ってきた人間が出ていくときに、殴った男の顔の一部を白く塗っていくという奇妙な演出があり、期待をもたせる展開だった(細部だが、部屋の外の足音や物音の反響にわくわくした)。

いけなかったのは、中盤から終盤に移行するところ、たぶんたまたまぼくの集中力が途切れるタイミングだったのがよくなかったのだろう。半ば遠藤の幻想とおぼしき動きの速いシーンについていけなかった。なんかこのまま終わってしまいそうな予感もあり、ぼくを置いていかないで、と叫びたくなる気持ちだった。そこでは終わらなかったんだけど、ほんとうのクライマックスの瞬間に同じ置いていかないでという気持ちを味わった。

遠藤が中学生時代の、教師から力尽くで押しつけられた役割と、級友を蛍光灯でたたいたという忘れられた記憶、それとパラレルに、現在の、周囲から押しつけられている虚像と、今回後輩を殴ったこと、があるという理解、つまり抑圧にたえられず「ほんとうの」自分が顔を出すと、不可解な暴力がうまれる、ということでいいんだろうか。でもちょっとそれだとありきたりのような気もするのだが。どうなんだろう。