快快『SHIBAHAMA』

快快『SHIBAHAMA』

作:北川陽子、演出:篠田千明/東京芸術劇場小ホール1/自由席3000円/2010-06-05 19:30/★★★

出演:大道寺梨乃、千田英史、中林舞、山崎皓司、加藤和也、北川陽子、篠田千明、佐々木文美、藤谷香子、天野史朗、郷拓郎、ナジュ・オルガ

はじめ、場違いなところにきてしまったと思った。どこかの学園祭に紛れ込んでしまったような居心地の悪さ。

いわゆる演劇といわれるものの範疇におさまりきるものじゃない。というか、ほとんどはみでている。落語『芝浜』がテーマではあるんだけど、それをネタとして繰り広げられるバラエティーショーといった趣。観客参加のジャンケン大会(自ら参加したとはいえ優勝してしまったシャイな若い男性はとてもかわいそうだった)、シューティングゲーム、ウェーブ。パフォーマーが身体をはった失神ゲーム、異種格闘技戦。ゲストの歌の演奏。

それが途中で反転した。ひとりが唐突に忠臣蔵について語りはじめる。四十七士というけれど、ほんとうは家臣は2000人くらいいたんです。わたしは残りの生き続けた1950人くらいの人たちのほうがすごいと思います、という高らかな快楽主義宣言。そして周囲に映し出されている世界中のライブカメラの風景。これが舞台の上だけで閉じられた虚構ではなくて、パフォーマーひとりひとりの生身の現実(=楽しさ)とダイレクトに結びついた空間だということに気がつかされるのだ。

なんだ、これは?楽しさそのものはぼくの理解や実感から離れたところにあるんだけど、その存在が気になって仕方がない。不思議な体験だった。