五反田団『俺のお尻から優しい音楽』

五反田団『俺のお尻から優しい音楽』

作・演出:前田司郎/三鷹市芸術文化センター星のホール/自由席2500円/2011-02-05 19:00/★

出演:大山雄史、前田司郎、布川雄治、用松亮、吉田亮、西田麻耶、望月志津子、墨井鯨子、石澤彩美、後藤飛鳥、木引優子、宮部純子

「五反田団史上、最高にくだらない演劇」という触れ込みの本作。もっとくだらなくてもよかったかな。

物語としては『のだめカンタービレ』的な音楽を題材にした学園もので、そのレイヤーには感情移入できそうなリアリティーはなく、設定の安易さ、奇妙さとか演技の過剰さなど、メタなレイヤーで笑いを誘おうとしている。でも一般的に、このメタな位置は安住するのはとても難しくて、たいていは途中でベタなレイヤーに感情移入可能にするか、あるいはメタへメタへどんどんエスカレートしていく方法をとるかどちらかだと思うが、今回はその視点を保ち続ける困難な道を選択している。でも、ぼくはメタとベタの間で宙ぶらりんのままぶらさがってしまった。こういうのをうまく作れるのは、元猫ニャーのブルースカイをおいてほかにはいない気がする。前田司郎には別のフィールドでがんばってほしい。

クライマックスで明らかになる真実は、けっこう意外でおもしろかった。すべてが腑に落ちた。