竹中直人の会『隠れる女』

作・演出:岩松了/下北沢本多劇場/指定席5000円/2000-12-28 19:00?/★★★

出演:竹中直人、岸田今日子、小泉今日子、矢沢幸治、岩松了

2年ぶりの竹中直人の会。今回のゲストは小泉今日子と岸田今日子のダブル今日子。役名も秀子と英子と字は違うが、ダブル「ひでこ」だった。母親と息子が暮らす海沿いの別荘に夜、人をひいてしまったかもしれないといって若い女が訪ねてくる。どこまでが真実でどこまでが嘘か全くわからない女の言動。男が少年の頃に亡くなった父親の影。ストーリーらしいストーリーは特にはない。登場人物はそれぞれにエキセントリックなので、行動や言動が唐突で不可解な印象を与える。そういう点は確かにマイナスなのだが、台詞回しに岩松了独特のねちっこさがあったのと(ねちっこすぎてわけわからないのもあったが。「微分」て何だ?)、赤い花を使ったラスト近くの盛り上げ方には、演劇的興奮を感じた。この舞台の一般的な評価がいまいちなのも理解できるが、ぼくの個人的な評価は高い。何より小泉今日子を含めて、演技の質が高かった。