PARCOプロデュース『テキサス』

作:長塚圭史、演出:河原雅彦/PARCO劇場/指定席7350円/2012-04-07 19:00/★★

出演:星野源、木南晴夏、野波麻帆、岡田義徳、福田転球、政岡泰志、伊達 暁、吉本菜穂子、山岸門人、湯澤幸一郎、河原雅彦、高橋和也、松澤一之、ブライアリー・ロング

完成度という点からいうと「傑作」ではまったくないけど、妙に印象的な場面てんこ盛りの怪作だった。

マサルが彼女をつれて東京から久しぶりに辺鄙この上ない郷里にかえってみると、姉を含めて、知人たちの顔がみんなかわっていた。それは街はずれに開業した格安の整形外科医によるもので、それが物語のひとつの伏線。マサルは彼女とともに、東京で育てた雌鶏を連れ帰っていた。というのもマサルの郷里では、よい卵を産むニワトリを所有するものに権力が与えられていたからだ。ところがマサルが留守の間にそのルールは変更されていて、闘鶏で勝負がつけられていた。新しい権力者の川島に鶏を殺され、スマフォもシャツを奪われ、彼女も連れ去られたマサルは再挑戦を誓う。というところも実は本筋ではなくて、マサルはあっけなく勝利をつかんでしまう。もうひとつのストーリーとして、東京からマサルを追いかけてきた借金取り四つ星の存在がある。彼はマサルの家の庭で奇妙な植物をみつけそれを乾燥させたものを麻薬として東京に送る。そこにマサルの姉聖子と恋人沼田の死、そして整形手術を受けた住民の顔に異変が起き始める……。

吉本菜穂子が演じた、マサルをずっと思い続けていた千鶴子というキャラクターがとにかくすばらしかった。冒頭に「傑作」ではないと書いたけど、彼女を主軸に考えると、実は大傑作なのかもしれないという気がしてきた。ラストシーンもすばらしかった。