ハイバイ『ポンポンお前の自意識に小刻みに振りたくなるんだポンポン』

ポンポンお前の自意識に小刻みに振りたくなるんだポンポン

ちょっとだけみてすぐ離れてしまったハイバイの芝居をまたみてみようと思ったのは、岩井秀人の役者としての面白さによるところが大きい。妙に弁が立って時折攻撃的になるんだけど、いがかわしくて小心で女々しくてという役を演じさせたらピカイチ、彼が出てくるだけでおかしくなってしまう。このおかしさは、実は彼が作、演出する作品全体を流れているものなのではないかと気がついた。

ファミコン全盛時代の夏休み、友達とお金を出し合って話題の新作ゲームを買いに行った小学生吾郎は店員に脅されて代わりに中古のクソゲーをつかまされる。しかも、そのあと友達の部屋でおしっこをもらしてしまう……

基本、小学生二人の家庭と友情を描いた作品だけど、場面がかなりの時間ある劇団の取材と稽古のシーンに切り替わるのがおもしろい。このシーンが一番おかしかった。こういう一見まとまりのなさはハイバイの欠点だと思っていたけど、ときによって物語の枠にとらわれない大きなパワーを生み出すな、と認識をあらためた。

作・演出:岩井秀人/こまばアゴラ劇場/自由席3000円/2012-07-21 18:30/★★★

出演:荒川良々、岩瀬亮、安藤聖、平原テツ、川面千晶、岩井秀人、坂口辰平、永井若葉、師岡広明