城山羊の会『効率の優先』

効率の優先

あるオフィスの一室が舞台。美人で有能な部長の下、多忙をきわめている部署だが、いろいろな出来事の連鎖で社員の間で互いの間の好悪の感情があちこちで噴出し、仕事どころではなくなっていく。やがてそれが痛ましい事件、事故につながっていくわけだが、それでも彼らは仕事を続けるためと称してそれを隠蔽しようとする……

終演後、作・演出の山内ケンジさんと大根仁さんのアフタートークつき。その中でもいっていたけど、今回物語の構成が見事だった。エピソードが自然に積み重なって状況がエスカレーションしていく。ただ、逆にいうと、道筋が見えすぎて、ここからどこへ連れていかれるのかわからないワクワク感みたいなものは希薄だった。個人的にはそこが物足りない。

山内さんはアフタートークで「とくに書きたいことはない」と何度も繰り返していたけれど、今回の作品のテーマをあえてあげるとすれば、私生活が仕事で侵食されると、逆に仕事が私生活に復讐される。ただその場合でも仕事はほんとうの問題から目を背ける口実として利用され続けるということ。

作・演出:山内ケンジ/東京芸術劇場シアターイースト/指定席3500円/2013-06-08 19:30/★★

出演:鈴木浩介、石橋けい、岡部たかし、岩谷健司、金子岳憲、松本まりか、白石直也、松澤匠、吉田彩乃