シベリア少女鉄道『遙か遠く同じ空の下で君に贈る声援2013』

遙か遠く同じ空の下で君に贈る声援2013

初のシベ少。途中3/4くらいは、その乗りの過剰さを含めて小劇場演劇の王道をいく感じで、ただ各キャラクターに決めゼリフがあって、それをいったあとに録音された笑い声が入るのが往年のアメリカのシットコムみたいで、いまの小劇場演劇ではユニークだと思った。場所は昔ながらの喫茶店、勘違いキャラで切れると何をするかわからないこずえは五代(役名はみなめぞん一刻から借りている)と付き合っていると思い込んでいる。その五代はどうやら近くで別の女性との待ち合わせがある様子。まわりの人間たちは事を荒立てないためにさまざまな策略をこらすが、天性のいたずら娘、ウェイトレスの朱美のせいでどんどんはちゃめちゃになっていく。彼女がすべての問題の中心だったのだ。とまあ、たわいない現実性のないストーリーではあるんだけど、やはりそこにもアメリカのシットコムの乗りを感じて楽しめた。

ネタバレになるので詳しくはかけないが、終盤1/4でこのストーリーの裏にある「構造」が突然明らかになる。それぞれのキャラの決まり文句の意味がここで明らかになるのだ。観客は、ストーリーを離れて素でなんだか楽しくなる。まさか、そこにそんな仕掛けが隠されていたなんて。どうりで、入場時にパンフレットをひとりひとりしっかり渡そうとしていたはずだ。タイトルの微妙な洒落がそこで明らかになってにやにやする。ぼくは「当たり」にかすりもしなかったが、それでもとても楽しくなった。

作・演出:土屋亮一/王子小劇場/自由席3500円/2013-07-13 19:00/★★★

出演:佐々木幸子、篠塚茜、加藤雅人、土屋亮一、前野俊雄、川田智美