劇団、<del>本谷有希子</del>『ぬるい毒』

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今回は本谷有希子は原作のみで脚本と演出が『桐島、部活やめるってよ』の吉田大八監督。映像の人が舞台やるとけっこう微妙なことが多いので、どうかなと思っていたが、すばらしい仕上がりで驚いた。あら探しでいうと、舞台空間での人の動きをもう少しダイナミックにしたほうがいいとかそれくらいだ。

ほかの多くの本谷作品と同様この作品も地方都市に住む若い女性の鬱屈を描いている。地方の旧家のお嬢様である由理。一見おとなしく見えるが、その笑顔の下にはプライドと毒が潜んでいる。地味な高校時代から卒業して美しく変貌した由理はその美貌がいあkせる23歳までが自分の人生のすべてだと思い切っている。そんな彼女のもとにあらわれる向伊というあやしげな男。由理は向伊に不信と反発を感じつつも惹かれてしまう。恋人と別れ、地元から離れ東京で一緒に住もうとまでする。しかし東京に着いたとたんされた仕打ちに今まで抑圧してきた怒りが爆発して……

という下世話といえば下世話な話なんだけど主人公二人のキャラクター設定や演じた夏菜、池松壮亮の演技もなかなか素晴らしく、力強いリアリティを感じる舞台だった。そして打って変わって爽快なラストシーンもいい。舞い飛んだ紙吹雪にはこう書かれていた。

「私は24歳になった。」

原作:本谷有希子、脚本・演出:吉田大八/紀伊國屋ホール/指定席6500円/2013-09-14 14:00/★★★

出演:夏菜、池松壮亮、板橋駿谷、札内幸太、新倉健太、高橋周平、石井舞、一瀬麻衣子、井端珠里、川村紗也、(映像出演)小林でび