猫のホテル『しぶき』

作・演出:千葉雅子/ザ・スズナリ/指定席3300円/2004-09-25 18:00/★★★

出演:中谷竜、依田朋子、中村まこと、いけだしん、市川しんぺー、池田鉄洋、森田ガンツ、佐藤真弓、岩本靖輝、村上航、菅原永二、千葉雅子

猫ニャーが解散したので、演劇界で「猫」といえばこの猫のホテルだけを指すようになった。

いきなり、北島三郎の楽屋から話がはじまって、どんな展開になるのかと思っていたら、その場ではほとんど目立たなかった若い男女が職を転々としながらバブリーだった80年代から90年代にかけての世の中を渡っていくというストーリーだった。はじめの北島三郎の紅白辞退騒ぎは1986年。最後の場面はそれから10年後だ。

猫のホテルは音楽でいうと一昔前の歌謡曲が似合うようなどちらかといえばべたな話が多いのだけれど、ひとつひとつのセリフの的確さがすごい。ありきたりのセリフでなく、その場でそのセリフがいわれることの意味がすっかり計算し尽くされている感じがするのだ。もちろん、それはひとりひとりの役者の力量にささえられていて、ここが同じ猫でもランクがちがうよと思ってしまうところだ。