演劇ノート

劇団野の上『東京アレルギー』

野の上ははじめてで、「の」の上だから「ね」かなとわけのわからないことを思っていたが、実はこの間みたホエイ『雲の脂』と作・演出の人が同じだった。野の上は津軽に本拠を置く劇団で俳優陣も津軽在住の人が多いそうだが、今回はオール東京キャストで限りなくホエイに近い気がする。ただ、舞台で話さ...

『かがみのかなたはたなかのなかに』

こどももおとなも楽しめる芝居という触れ込み。舞台の手前と奥に境界があって、向こう側が鏡の中という設定。手前の世界の海軍士官タナカと向こう側のカナタ。二人は互いの存在に気がつき、友人になる。毎日ピザの配達にやってくる配達員は実は女性でコイケと名乗った(長塚圭史の女装)。彼女にも鏡の...

水素74%+三鷹市芸術文化センター『わたし〜抱きしめてあげたい〜』

何公演かスキップして久々の水素74%。変わってなさに驚く。登場人物たちは誰もが他者からの全面的な無条件の承認を求めている。太宰治作品をモチーフにした演劇公演ということだが、ぼくが太宰をほとんど読んでないこともあってどこがそうだかよくわからなかった。 幻想の中でモトカノと戯れたり失業...

シティボーイズ ファイナル part.1『燃えるゴミ』

「ファイナル」と銘打ったシティボーイズ3人だけの公演。作・演出に五反田団の前田司郎を迎えて、五反田団的な日常感覚と宇宙的シュールさが直結する笑いと、老境ど真ん中のシティボーイズ3人のゆるさが共鳴していたのではないだろうか。団地のゴミ捨て場でゴミの番をする初老男性3人の物語。 クライ...

青年団+第12言語演劇スタジオ『新・冒険王』

少年時代の平田オリザ自身の体験をベースにイスタンブールの安宿に集う日本人を描いた『冒険王』の続編。前作は1980年の設定だったが、今回は2002年の同じ宿を舞台にしている。正確には2002年6月18日、日韓共催だったワールドカップ日本が敗退し韓国が準々決勝進出を決めた日だ。ちょう...

大谷能生×山縣太一『海底で履く靴には紐が無い』

実質的には大谷能生さんのひとり芝居。大きな枠でいうとチェルフィッチュ系で(それも当然で作・演出・振付の山縣太一さんはチェルフィッチュの主要なプレイヤーのひとりでまさにその世界観を作りあげてきた人だ)、つまり俳優が奇妙な痙攣的な動きとともに日常的な出来事をモノローグ的に語るというダ...

城山羊の会『仲直りするために果物を』

前作『トロワグロ』で岸田戯曲賞を受賞して満を持しての新作。 河原のオンボロ借家に住む貧しい兄妹のもとに大家がたまった家賃のとりたてにやってくる。その大家もこわもての不動産屋に金を借りていて切羽詰まっている。借家に大家、不動産屋、その水商売の彼女が集まって一悶着起こる中、近所に住む一...

イキウメ『聖地X』

新作かと思ったら、2010年に上演した『プランクトンの踊り場』という作品を改題したものらしい。いずれにせよぼくは初見。 アイディアがとにかく秀逸。過去に謎めいた餓死事件が起き、テナントが入ってもすぐに廃業してしまい、よくない噂がたっている場所。そこで今度はドッペルゲンガー騒ぎが起き...

拙者ムニエル『わくわくステーション』

なんと6年ぶりの拙者ムニエルの公演。実質解散状態だと思っていたので、まさかこんな日がくるとは思ってもみなかった。嬉しい誤算だ。 下世話なところを含めて昔そのまま。加藤啓のキレキレのぼけやそれにつっこむ村上大樹の二人の間合いがあいかわらず素晴らしい。腹を抱えて笑った。といってももうみ...

サンプル『蒲団と達磨』

ほんとうは先週見るはずだったのだが、仕事のトラブルでチケットをふいにして、再チャレンジした。  岩松了の1989年の戯曲だ。娘の結婚式の日の夜、畳に蒲団が二組敷かれた古い日本家屋の夫婦の部屋。いかにも小津映画的なシチュエーションだが、登場人物やその間の関係性はかなり異形だ...

M&Oplaysプロデュース『結びの庭』

岩松版『家政婦は見た』かと思いきや予想もつかない展開。 弁護士水島慎一郎と経団連会長の娘瞳子はかつて瞳子が容疑者となった殺人事件の弁護で知り合い、無罪を勝ち得、その後愛しあうようになり結婚した。庭付きの古い洋館に居を構え幸福な日々を迎えているかのように見えたある日、昔の事件の真相を...

シス・カンパニー『三人姉妹』

チェーホフの戯曲の中でも三人姉妹はとりわけなじみ深い作品だ。とにかく上演機会が多いし、登場人物が魅力的だったり、ストーリーに明暗の陰影がわかりやすくきいてるので、印象に強く残る。ぼくも原作を読んでいることもあって強い既視感があったのだが、実際舞台でみたのは2002年の岩松了演出版...

岡崎藝術座『+51 アビアシオン,サンボルハ』

はじめての岡崎藝術座。 日系移民の子孫としてペルーで生まれ日本で育った作・演出の神里雄大さんの私小説的な作品だ。沖縄の親戚と祖先の墓からほとんど記憶にないが生まれ故郷であるペルーに祖母を訪ねた自分のルーツをたどる旅を題材に、日本出身で左翼弾圧から逃れて世界中を転々とした末メキシコ演...

青年団リンク ホエイ『雲の脂』

過疎が進んだ地域の海に面した神社が舞台。氏子の減少で、最近では捨てるに捨てられない不要になった宗教的な遺物をひきとるサービスをして糊口をしのいでいた。そんなある日海岸に一番近い鳥居が倒壊し、それから徐々に境内が崩落していき、白鳥たちが血を吐いて死ぬなどということが起きる。まるでこ...

田上パル『プロジェクト7』

新年初観劇。 真実が婚約者であるあつしの実家に招かれていってみるとそこには七小福という奇妙な七人の人たちがいた。彼らはみな孤児で、イェン先生という奇妙な指導者の下孤立して自分たちの能力を磨いてきたという。あつしは彼らの中の二人からうまれた子供だったのだ。彼らからふるまわれたお茶をの...

チェルフィッチュ『スーパープレミアムソフトWバニラリッチ』

コンビニを舞台にしたコンビニがテーマの作品。登場人物は7人。中間管理職の悲哀をにじませる雇われ店長。店を担当する本社社員まみやSV。店長に対して終始居丈高だが彼もまたノルマに縛られている。バイトのいがらしとうさみ。うさみはコンビニを愛しているがいがらしはビジネスライクであり他の従...

イキウメ『新しい祝日』

タイトルはあまり内容に関係ない。スーツ姿の男がオフィスでひとりで残業をしている。タバコを吸おうとしてライターがつかず、ふと訪れる空白の時間。突然デスクの間から道化服の男が這い出してくる。彼はオフィスの中のデスクも椅子もダンボールであることを指摘し、放り投げてみせ、ここがヴァーチャ...

城山羊の会『トロワグロ』

近所や取引先の人を招待してのホームパーティーが舞台。夜がふけてほとんどの客が帰り、残ったのは、ホストの添島夫妻のほかは、デザイナーの斉藤夫妻、たまたま同姓で病み上がりの斉藤雅人、トヨタの社員で遅れてやって来た田ノ浦のみ。あとから添島家のひとり息子が帰宅する。 いつもはけっこうマジッ...

青山円形劇場プロデュース『夕空はれて —よくかきくうきゃく—』

もともと別役さんの新作を上演することになっていたが、病気のため執筆できずということで、急遽旧作の上演ということになった。なんかそそらないタイトルだけど、中身は大変おもしろおかしく、しかも今この時代の状況が射程に入った深い作品だった。 セールスマンが空っぽの檻のそばを通りかかり、地元...

M&Oplaysプロデュース『水の戯れ』

16年前の初演は高熱をだしながらみた。芝居の内容はたいていしばらくたつと忘れてしまうのだが、この作品はまだ鮮明に覚えている。 (岩松了以外の)キャスト総入れ替えでどうかなと思っていたが、実際のところ初演よりはまっていた気がする。主役の仕立屋の男春樹を演じた光石研さんは完璧だったし、...