視力

Q

「視力が1.2から0.8に下がった」などとよく言いますが、(1)そもそも1.2の後に続く「単位」は何なのでしょうか?(2)何がどう見えれば1.2なのでしょうか?(1.2の人は0.8の人の1.5倍モノが見えるのでしょうか?)(TI さんからの質問)

A

広辞苑第五版より引用します。

「眼で2点を区別し得る能力。区別し得る2点間の最小距離を測り、それを視角で表し、その視角の逆数に比例する値を視力とする。視力の単位は国際協定で決められており、ランドルト環の切れ目を5メ-トル離れて見分けられる視力を1.0とする。」

ということです。ちょっとわかりにくい表現なので、ぼくなりにかみくだいてみます。

視角

同じ大きさのものでも近くにあれば大きく見え、遠くにあれば小さく見えます。太陽と月とは実際は400倍の大きさの差があるのですが、地球から見るとほぼ同じ大きさに見えることからもわかります。この見た目上の大きさは視角という単位ではかることができます。例えば左の絵のような場合ボールの見た目上の大きさは10度ということになります。

視力というのは、識別できる視角の大きさに反比例します。たとえば0.1度までのものしか見えない人より0.05度のものが見える人は2倍以上視力が高いということになります。さきに二番目の方の質問に応えると、視力1.2の人は0.8の人がぎりぎり見分けることのできる視角の2/3のものを見分けることができるということです。

なお、距離に比べて対象の大きさが十分小さければ、視角は距離にほぼ反比例し、対象の大きさに比例します。つまり、視力が1.5倍ということは、近似的に、同じ大きさのものが1.5倍遠くにあっても見分けることができるともいえますし、同じ距離にある2/3の大きさのものでも見分けることができるという言い方もできます。

ランドルト環

さて、最初の質問の「単位」についてですが、右図に示したランドルト環というのが基準です。図の中の1.5mmのすきまが5mはなれた位置から見分けられれば視力1.0です。この場合、対象の大きさは距離に比べて十分小さいのでほぼ比例関係がなりたち、視力0.8の人は、1.875mmのすきましか見分けられず、視力1.2の人は1.2mmのすきまも見分けられるということになります。