柴田元幸編訳『燃える天使』

燃える天使 (角川文庫)

13人の作家による15編の短編、エッセイを柴田元幸が編訳した作品集。アメリカ人5人、イギリス人4人、アイルランド人2人、オーストラリア人とブラジル人がそれぞれ1人ずつという構成だが、スチュアート・ダイベック(相変わらずいまひとつピンとこなかったが)以外は聞いたことのない名前ばかりだった。

作風も作家自身の少年、少女時代を描いたリアルなものから天使が火の周りを飛び回る幻想的なものまで様々。一番印象に残ったのはシェイマス・ディーン『ケイティの話 1950年10月』という古典的なゴーストストーリー。幼い姉弟だけが住む家に彼らの世話をするために若い女性が住み込み、恐ろしい体験をするという、ヘンリー・ジェームズの『ねじの回転』へのオマージュ的なシチュエーションで、髪の色や性別が入れ替わったりするエピソードが印象的だった。