地点『光のない。』

光のない。

ハプニング的にみにいくことにした舞台。その分情報が足りてなくて(いつものことだが)、昨年みた『光のない。(プロローグ?)』と混同して、その別バージョンだと思っていた。テーマとスタイルは共通しているが別のテキストだった。

覚悟していたが、「難解」という言葉に尽きる。プロローグ?もそうだったが、誰が誰に対して発しているのかわからない抽象的なテキストがただただ続いていくのだ。活字にしたものを読めば意味を理解できる可能性はある。断然そうすべきだった。チケットを1000円高くしてテキスト添付にすべきではないだろうか。

いや、ここを苦言を呈する場にするつもりはなくて、それをのぞけば、とても工夫がこらされたすばらしい舞台だった。音楽監督三輪眞弘作曲による生の合唱。美しいライティングと舞台セット。リーディングの音楽的な秩序。カーテンコールが済んでから石田大さんが登場してのアンコールのリーディングは特に劇的だった。その素晴らしい言葉の意味がまったく伝わってこないのが返す返す残念(と書くとほかに残念でなくなる演出方法があったように思われてしまうかもしれないが、そうではなくこの残念さは形而上学的なもの。ほんとうに仕方がない)でもあったのだが。

作:エルフリーデ・イェリネク(翻訳:林立騎)、演出:三浦基/神奈川芸術劇場大ホール/指定席4500円/2014-10-11 18:00/★

出演:安部聡子、石田大、小河原康二、窪田史恵、河野早紀、小林洋平、(合唱:朝日山裕子、石田遼祐、金巻勳、黒田早彩、田嶋奈々子、野口亜依子、林美希、圜羽山圜、藤崎優二、幣真千子、村田結、米津知実)